
華やかに彩られたショッピングモールの中、往来を行く人々はどこか浮かれているように見える。
クリスマスを控え装飾された木の下で、少女はゆるりと視線をめぐらせた。待ち人はまだ来ない。
と。
「ここにいた!」
「きゃっ!?」
不意に両頬に冷たい手が触れた。慌てて振り向くと、金髪碧眼の異邦人が彼女に笑いかける。
「ビックリした?」
「もう……! あなたは本当に!」
彼女の驚きぶりに彼はくすくすと笑い、しかしふと真摯な表情になる。
「そうだ、友人から聞いたのだけどね。このモールに、カップルがカップルを襲うとかいう物騒な噂があるらしいんだ」
「カップルを襲う、ですか?」
少し英語訛りのある流暢な日本語に首を傾げる。
「ええと……リアジュウ? ってヤツかな? そういう人たちを見つけては『自分たちのほうがずっと仲がいい』と襲い掛かるらしいんだよ」
「羨ましいのか、自慢したいのか、よく分かりませんが……」
ぱちぱちと黒い瞳をまたたきながら、彼へ言う。
「私たち、カップルではありませんから関係がないような?」
「えっ」
凍りつく青年を不思議そうに眺める少女。
それを見ていた人影が、すっとその場を離れていった。
「リア充を爆発だ!!」
ぐっと拳を握る神崎・ヤマト(中学生エクスブレイン・dn0002)に呼応し、水綴・梢(銀髪銀糸の殺人鬼・d01607)がうんうんと大きく頷いて同意する。
「つまり、リア充の都市伝説を爆発してこいってことだな」
「そういうことだ!!」
「そういうことよ!!」
集まった灼滅者のすべてを察した言葉に、ぐぐぐっ。と力いっぱい力説。
「私が聞いた情報では、このショッピングモールにリア充を襲うリア充の都市伝説が出るそうなの」
ここね、と梢がフロアガイドの冊子を示すとヤマトが説明を継いだ。
「そいつらは男女2人組のカップルの姿をしていて、男は長身イケメン、女はバインボインの美人で、見ているだけで爆発したくなるくらい仲がいい。で、仲がよさそうなカップルのそばに現れ『自分たちのほうが仲がいい』というようなことを言いながら襲い掛かってくる」
よし、それは爆発しよう。
「なお出現させるためにはリア充を装う必要がある」
「ですよね」
はい。
「戦闘能力だが、カップルなだけに能力は同じだ。手の爪を解体ナイフに似た形に変えて攻撃してくる。それから互いに互いを回復するようだな」
チッ。と、大きな舌打ちがどこからか聞こえた。
それなら仲違いさせてやろうと意気込む灼滅者に、エクスブレインは渋い顔になる。
「どうやらこいつらは非モテ非リア充どもが理想的なリア充を妄想し、その妄想力が具現化して現れた都市伝説のようだ。なので別れさせることはできない」
「全俺らが涙する理由だな……」
「でも思う存分爆発できるわね」
その言葉にヤマトが力強く頷いた。
「手加減する必要はない。跡形もなく爆発してこい!!」
爆発させることは必須条件ではないので普通に倒しても可だ。
これ以上にないほど拳に力を込めたエクスブレインに、梢は金の瞳を向ける。
「だけど、人が多い場所だから一般人を巻き込みかねないんじゃない?」
「ああ。この辺りに広いイベントスペースがあるんだが、クリスマス前日まではコーンとバーで立ち入り禁止になっていて、人通りは少ないだろう」
言いながら地図を示す。
待ち合わせによく使われる植樹がある通りから程近いここをうまく使えば、有利にことを進められそうだ。
「今回は、リア充はリア充でも都市伝説だ。遠慮する理由も必要も微塵もないからな」
がばっ、と大きく手を振り上げる。
「全身全霊を注いでリア充を爆破してこい!!」
「任せろ!!」
ヤマトの魂のこもった激励に、灼滅者たちも熱い魂で応えた。
参加者 | |
---|---|
![]() 水綴・梢(銀髪銀糸の殺人鬼・d01607) |
![]() 米田・空子(ご当地メイド・d02362) |
![]() 九曜・亜門(白夜の夢・d02806) |
![]() 時諏佐・華凜(星追いの若草・d04617) |
![]() 水沢・彩愛(ブルームストーム・d09400) |
![]() 九重・都子(数えずの書庫・d10346) |
![]() ミカ・ルポネン(暖冬の雷光・d14951) |
![]() オリヴィエ・オーギュスト(従騎士・d20011) |
●
暖かい光を放つ電飾に彩られた植樹の下、気もそぞろに待ち人を探す少女が俯きそっと息を吐く。
甘ロリふわふわネコメイド姿の彼女に落胆する様子はなく、むしろ嬉しそうですらある。
「オリヴィエくん、まだかにゃあ……?」
控えめに周囲へと視線を投げる水沢・彩愛(ブルームストーム・d09400)の胸中は複雑だ。
「(18歳姿のオリヴィエくん……きっと超イケメ……!?)」
エイティーンのESPを使って素敵に変身しているであろう姿をあれこれと想像しそわそわしてしまう。
元が金髪翠眼の美少年ですよ。期待しちゃうじゃないですか。
「お、落ち着くにゃ……れでぃーは取り乱さないのにゃ!」
「水沢さん?」
ぐっと拳を握る彩愛の背に穏やかな声がかけられ振り向くと。
「すみません、遅くなって」
すらりとした青年が優しく彼女に笑いかける。
陽差しを織り込んだ髪の下、エメラルドの瞳がいたずらっぽい色を映すその面差しは。
「お、オリヴィエくん……?」
「はい、これどうぞ。こんなとこで待ってるの寒いですもんね」
微笑み差し出すスープを受け取りながらまじまじと見つめ、慌てて視線を逸らす。
その反応をどう思ったのか、オリヴィエ・オーギュスト(従騎士・d20011)は彼女の顔を覗き込み頬に手を当てる。
「顔赤いですね。そんなに寒いですか?」
「そ、そんなことないにゃ!」
ふるふると首を振って受け取ったスープを両手で包み込み、
「ありがとう……とっても温かい……オリヴィエくんみたい……」
ふわ、と微笑んだ。
「いい感じですね~」
物陰に隠れながらあんぱんと牛乳を手に、ほわほわとした表情で米田・空子(ご当地メイド・d02362)が2人を眺める。
時諏佐・華凜(星追いの若草・d04617)は頷いて応え、
「ちょっと、野次馬みたい……でしょうか」
「なに、野次馬でなく囮役の監視じゃよ」
傍らであくびをする霊犬・ハクの頭を撫でながら言う九曜・亜門(白夜の夢・d02806)に、九重・都子(数えずの書庫・d10346)がこくりと頷いた。
そう、彼らは都市伝説を誘い出す囮役なのだ。
とは言えオリヴィエのエスコートはぎこちなく、お淑やかなレディを演じる彩愛も顔を赤くしたり俯いたりと、初々しくも微笑ましいカップルに見えた。
「……ところで、リア充とは一体何じゃ?」
リア充爆発とも縁のない亜門の空気を読まない問いに空子が首をひねる。
「リアルが充実している人のことですね~」
「……ふむ、なれば日々充実しているのであれば皆リア充ではないか」
至極もっともな意見である。
「でも、こういうやり取り、は、ドラマや漫画みたい、で……何だかどきどきします、ね」
こそこそと様子を伺いながらの華凜の言葉に、都子は眉をひそめた。
彼女も、恋に憧れる気持ちはある。都市伝説や囮役たちのラブラブぶりを眩しく思う。
だが。
「折角仲良しで素敵な相手がいらっしゃるというのに、デート内容がこれでは大変遺憾ですね」
囮役の彼らのことではない。
世の恋人達の平和を心から願い、守ると誓い、ふと視線を移す。
イベントスペースへと向かう先に、混沌としたオーラを放つカップルがいた。
「ここなら、静かだね……」
ひと気のない空間にひそやかな声が響く。
向かい合い見つめ合う少年と少女は、どこか禁じられた雰囲気をまとっている。
「あのさ、水綴さんって呼ぶの……終わりにしたいんだ」
思いつめた様子で告げると、彼女の表情がぱっと変わった。
「ミカくんと付き合えるなんて、梢は世界一幸せだよっ♪」
嬉しそうに笑う少女に少年も笑みで応えた。
だが少女、水綴・梢(銀髪銀糸の殺人鬼・d01607)の瞳からはハイライトが消えている。
事前に血涙を流しつつリア充の生態を調査していた彼女は、一人称が変わる程度に精神崩壊しつつリア充役もといもうひと組の囮役を務めていた。
依頼が終わった後、枕に顔を埋めてベッドの上でジタバタするであろうことを、彼女はこの時から察していたという──
一方のミカ・ルポネン(暖冬の雷光・d14951)も、囮役を任せられたのは正直すごく恥ずかしい。
年齢=彼女いない歴の自分にリア充の思想が分かるだろうか? いいや、分からない。
「(自分これ絶対気持ち悪い! 水綴さんに殴られてもいい覚悟!)」
などと心の中で悶絶していたのだが、死んだ瞳で満面の笑みを浮かべる彼女を見てその葛藤は些細なものだと知る。
「ボクだけの特別な呼び方をさせて欲しい。なんて呼べばいいかな?」
梢の頬に手を添え、じっと……目ではなくおでこ辺りを見つめた。
と、その時イベントスペースの入り口に人影が現れる。
「立入禁止かぁ……どんな風に飾りつけられてるんでしょうね?」
入り口に置かれたバーの前に立ちオリヴィエが少しわざとらしく言うと、彩愛はうーんと首を傾げる。
「もうすぐクリスマスだものね……準備中にゃのかしら」
「一寸だけ、こっそり二人で入って皆より先に見ちゃいませんか」
そっと耳元で囁くと、乙女は内心で声にならない悲鳴を上げながらこっくりと頷いた。
手を引いてバーの向こうに踏み込むのを確かめ、
「2組とも入りましたね」
尾行を続ける都子の言葉に灼滅者たちが頷く。
2組の囮役は互いに何かあればすぐ反応できるほどの距離で、彼らを尾行しているグループもそう離れてはいない。
彩愛たちもミカたちに気付き、いい雰囲気っぽいふたりを見て考える。
「(イチャらぶ……どうやって競うのん?)」
後ろから抱きついてみるとか?
ぎゅっとしてみるも、不思議そうな顔でどうしたのかと訊かれただけだった。
「駄目ね、全然駄目」
不意に艶を帯びた声がし、見るとイベントスペースの暗がりに男女がいつの間にか現れていた。
胸が強調されるミニドレスを着た艶やかな女と対照的にラフな服装がやけに似合う長身の男は、指を絡めて手を繋ぎながら灼滅者たちに歩み寄る。
現実にはいなさそうだが想像でもいなさそうな感じのカップルは、想像の限界だったのだろうか。
「僕たちより素敵なカップルなんてやっぱりいないね」
「ええ。どんなカップルより私たちのほうが仲がいいわ」
微笑み合うと、手の爪がぎちぎちと音を立てて鋭く禍々しい刃へと変形していく。
「そんなカップルは斬り裂いてしまおう」
「邪魔だものね」
狂気に満ちたその笑みに、亜門がすっと無貌の白面を被る。
「この身はただ威を狩る者である」
故に、無貌。
殲術道具を手にし、灼滅者たちは都市伝説と対峙した。
●
「どの子から斬り刻……え?」
豊かな胸を男の腕に押し付けて微笑む女の言葉が途切れる。
ずず、ず。と。梢の胸元で闇の底よりなお昏い闇が蠢き、ひっと悲鳴を上げる都市伝説の耳は地の底から響くように低い舌打ちを捉えた。
いい笑顔で得物を構えたミカからも、近付く者すべてを切り裂けそうなほどの殺気が放たれている。
「……壊アップ」
ぽつりと呟くがそんな効果はありません。
彼のそばで都市伝説を威嚇する真っ白な霊犬・ルミは、心なしか主から距離を取っている気がした。
「胸が大きいからって偉そうにしてんじゃねぇぞチクショー!」
切実な叫びを上げる非リア充に、ナノナノの白玉ちゃんをなでなでして空子がふんわりと微笑む。
「ああいうオトナになっちゃいけませんよ~」
「はい……」
「……新たな都市伝説が、生まれそう……ですね」
護符揃えを手にオリヴィエがこくこくと頷く。華凜は首を傾げ、ハーディングフェーレと呼ばれる弦楽器に弓を添えた。
綺羅なる装飾が施されたハーディングフェーレの奏でる音色は、そのたおやかな姿にも優しい名前にも背いて激しく都市伝説を襲う。
都市伝説は人の姿をしながら人ならぬ声を上げて悶え、その隙を突いて亜門がハクを従え追撃する。
「ハクよ、合わせるぞ」
短い言葉にサーヴァントは応え、荒ぶる風刃と神刃の双刃が都市伝説を切り裂いた。
男女の都市伝説は体のあちこちに傷を作り血のようなものをにじませながら灼滅者たちを睨む。
「何よ、私たちが仲いいからって嫉妬してるの?」
「最近は何かと物騒だな」
「お前らが言うな!」
灼滅者たちを批難する都市伝説にツッコミが入り、ひらり裾を翻して彩愛が踊った。
ぐっと突き出した鋼の拳はかわされたが間隙入れずに影が疾り、都市伝説をぞぶりと襲う。
「他人を傷付けて得られる幸せなど、偽りです」
影業を繰って都子は都市伝説を見据えた。
彼女も独り身だが、だからとリア充やカップルに嫉妬はしない。幸せな他人を羨んでも、自分は幸せにはならないのだから。
「私だけではない、きっとこの場の皆さん全員が世のカップルの幸多からん事を願っている筈です!」
力強く断じた言葉にぎりぃっと歯軋りする音が応えた。
オリヴィエが都市伝説目掛けて護符を打ち放ちながら挑発する。
「本当に仲がいいなら、他人に見せ付けて証明する必要なんてないよね……実は自信がないんでしょ!」
自身を狙う護符を切り捨て都市伝説は、かりそめの姿に隠した闇を覗かせる。
「自信?」
「え?」
不意の反芻に息を呑む。
「本当のリア充は、その幸せを他人に見せ付けるものかしら?」
否。見せ付ける必要などないからこそのリア充である。
この都市伝説は『非モテ非リア充どもが妄想した理想的なリア充』なのだ。
薄い笑みに、華凜は気付いた。
「彼らは……心に描いた理想、から生まれたんですよ、ね?」
なのに、こう、何処かいたたまれないのは、なぜだろう。
なぜならば、その本質はリア充ではなく。
「幸せになりたいと願い妬む心が、」
「知ったことか!!」
語りかける都市伝説を遮りミカの一撃がモロに直撃した。
「うおおおおリア充爆発しろぉぉ!!」
灼滅されはしないが勢いに負けて突っ伏す男を前にマテリアルロッドを掲げて吼えるその姿は、まさしく嫉妬の塊。
「つまり、こういうことと」
「……うん、理解しました」
頷く亜門にオリヴィエがこっくりと頷き、華凜は寂しげな表情を浮かべる。
「(ただ、好きな人と一緒に居られたら……それだけでいい筈なのに、な)」
嫉妬はダメ、絶対。
女は豊かな胸に手を当て、もう片方の手で男に向かって投げキッスを放つ。
「ダーリン、起きて?」
ぽやんとピンクのハートが放たれると倒れている男を包み込み、その傷が癒されていく。
「ああ、ありがとうハニー……やっぱり君の癒しは最高だ」
「うふふ、あなたへの愛で割り増しされているもの♪」
立ち上がって礼を言う男に女がぎゅっと抱きつく。心なしか胸を強く押し付けて。
「いちゃつくのはそこまでです~!」
スカートの裾をさばいて空子のメイドキックが鋭く炸裂し、重ねて白玉ちゃんのしゃぼん玉が飛ぶ。
ラブパワーで回復した男はするりと避けてみせると、手でハートを作ってキリッとキメ顔。
「救われない非リア充に愛の手を!」
叫んで放つハートは毒々しい極彩色でぶわっと広がり灼滅者たちを包む。
「うざっ!」
「にゃっ!?」
もろに愛の毒を受けた梢と彩愛が苦鳴を上げ、すかさずルミと華凜の癒しが放たれた。
仲間を癒すその声で、少女は都市伝説へと告げる。
「庇い合うお姿も、いいものです、が……そう言うお気持ち、は、誰かに対抗する物じゃ、ないと思うん、です」
ぎゅ、と手に力がこもる。
「あんまり、あてつけないで下さい……ね?」
星花の如きその表情に静かな凄みを落として。
都市伝説は軽くキスをしてから灼滅者へと襲い掛かる。
だが、既にダメージが蓄積していた上に全力のフルボッコで大した攻撃もしないうちに瀕死寸前になってしまう。
漫画的表現をするなら、威勢よく啖呵を切って3コマ以内で倒される雑魚のように。
「ハニー、しっかりするんだ!」
ハートの力で今にも倒れそうな女と自分を回復する男に、じりっと彩愛がにじり寄る。
「人前でイチャついていいのは結婚式だけにゃ」
「これから、恋人さん達にとって、イベント沢山の幸せな季節」
華凜も得物を掲げてまっすぐに狙う。
「物騒な物を振り回して邪魔する方々は、しっかりと、退治させて頂きます、ね」
そう告げて繰り出された少女たちの連撃に次いでミカが巨大な斬艦刀をづらりと一息に振り下ろした。
恨み辛みも込めた重厚な一撃に、都市伝説は悲鳴を上げる間もなく姿を消す。
「ヒャッハー! リア充は粉砕だー!!」
世はまさに世紀末である。
残った女のほうも距離を詰められ逃げ場がない。
攻撃が集中したたらを踏む女を掴み空子が高く持ち上げ、一息に地面に叩きつける。
「とどめなのですよ~!」
メイドダイナミックの爆発で派手に煙が上がり、晴れた後には都市伝説の姿はない。
「これにて一件落着じゃな」
鷹揚に頷く亜門に、ハクがひとつ大きなあくびをした。
●
「ほろびろー! みんなほろびろー!」
その場で四つん這い、いわゆる失意体前屈の姿勢になり、梢がこの世への嘆きを叫び続ける。
「でも彼氏募集中です! クリスマスまでまだ間に合います!」
「もしも間に合わなかったら……?」
「何……だと……!?」
絶望した。非情な現実に絶望した。
梢のパートナーを務めたミカもorzの姿勢で微動だにしない。ルミが一緒に四肢を張り主の真似をしている。
「……ところで、今日の我らは、灼滅者をして充実した日を過ごした訳じゃが……つまり、リア充と言うことで良いのかね?」
「いえ、間違っていると思いますよ」
最後まで空気を読まず真顔で問う亜門に、生真面目に都子が否定した。
「折角のクリスマスなんだし、あんな風に乱暴しないでお互い幸せなのを見てる方がずっと嬉しいと思うんだけどなあ……」
呟き、オリヴィエはふと視界に入った周囲の親子連れを見て羨ましげに目を細める。
その横顔がどこか寂しそうにも見えて、彩愛がぱちんと手を打った。
「都市伝説も倒したことだし、デートの続きをするかにゃ?」
それは多分、たどたどしいデート未満になるだろうけども。
「えっ、でも……」
「楽しいデートになりそうですね」
戸惑う少年に都子が微笑み、空子もふふっと笑う。
「空子には白玉ちゃんがいるから寂しくないのですっ」
デートしてから帰りましょうね、白玉ちゃん♪
嬉しそうなその言葉に、梢がばっしんばっしんと床を叩いた。
「きっと……希望は、あります、よ?」
ほわりと微笑み宥める華凜の言葉に少女はがばっと顔を上げ、
「限りなくゼロに近くても、ゼロではありませんもの~」
白玉ちゃんをだっこして言う空子の言葉にがばっと突っ伏す。
「チクショー!! リア充爆発しろー!!」
凄絶な叫びが、ショッピングモールに響いた。
作者:鈴木リョウジ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
![]() 公開:2013年12月23日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 7/キャラが大事にされていた 5
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